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"土から生まれる私"
植物の蒸留とマクロビ料理
​ワークショップ

"土から生まれる私"。

 

私たち人間をはじめ、地上に生きる全ての生命の根源は土にあります。文字通り、私たちの身体を構成するエネルギーや物質は土から生まれ、そしてまた土に還っていく循環を繰り返しています。このワークショップでは、そんな生命の源である土を深く探求します。

「私たちを育む"土"とは?」をテーマに、土の働きや生命を育む力、そもそも土とは何なのかについてお話します。

 

そして、植物蒸留研究家でもある私、齋藤マイ子が、実際に土の赤ちゃんである豊かな栄養を含んだ腐葉土から蒸留によってエキスを抽出し、生命の源を体感していただくワークショップを行います。

 

また、料理研究家の浅田あいさんとのコラボレーションでは、テーマに沿ったマクロビオティック料理を一緒に作り、五感で生命の力を味わっていただきます。

 

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『"土から生まれる私"植物の蒸留とマクロビ料理​ワークショップ』
のご紹介

〜ライターがワークショップを体験してきました〜

 

​​​​2024.11.9 sut 

Photo:Junichiro Morinaga

Text:Kayo Arita

 

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アロマボディサロン『nikohako』のオーナーの齋藤マイ子さん(以下、マイ子さん)は、植物蒸留研究家でもあります。

今回参加させていただいたのは、マイ子さんのワークショップは植物蒸留のコンテンツの中でも人気のある「腐葉土の蒸留」と、そして料理研究家の浅田あいさんによる「土を感じるマクロビオティック料理」のコラボ企画。

11月9日の土曜日に、西鎌倉にあるマイ子さんのサロン『nikohako アロマボディワークサロン』にて開催されました。

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「さて、土とは何でしょうか?」

​集まった皆さんの自己紹介も終え、早速今回のワークショップの核心をつく質問がマイ子さんから投げかけられました。

​私も含めて、質問を投げかけられた一同は、一瞬顔を上げて土について思いを巡らせますが、意外となかなか答えが見つかりません。

そんな様子を見て、マイ子さんは次のように教えてくれました。

「土とは、砂や粘土と植物の死骸が混ざり合ったものです。月や火星には、砂や粘土はありますが土はありません。土は、植物の生命がある地球にしかない生命のゆりかごなのです。植物の死骸である土は有機物であり、それを苗床にして新たな生命を循環させているのです。46億年の長い歴史を持つ地球に、生まれてから41億年経って初めて土が生まれました。そう、今から5億年前に、地球で初めて海から上陸した生命である苔、地衣類が死んで原初の土になったのです。」

目から鱗でした。

私たちは普段、土の存在を意識することはあまりないかもしれません。特に、都市で生活している方であれば尚更なのではないでしょうか。

 

しかし、私たちが口にする野菜、果物、動物、そして私たちの体までもが、土から生まれたものであるという事実。そして、子供の時から、土で汚れた手はよく洗いなさい、と言われて育った私には、知らず知らずのうちに、漠然と土は汚いモノという暗示があり、生命のゆりかごである、という事実にハッとさせられたのでした。

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すっかり土に対する見方が変わったところで、次に腐葉土蒸留のワークショップに移ります。

まず腐葉土を体感してもらうべく、テーブルいっぱいに腐葉土を広げます。目の前に広げられた腐葉土は、言わば土の赤ちゃん。落葉して、早くても100年かけて土になっていく、ということです。​

ふと、都市を覆い尽くすコンクリートが思い浮かびました。その下にどれだけの生命の循環や歴史が埋め固められてしまったのか、ということが頭をよぎります。

もう土は汚いものだ、という先入観は他所に追いやられ、腐葉土に、顔を埋めてみたり、そっと身体を横たえてみたりする参加者の皆さん。心身共に土に対する認識をアップデートします。

そんな風に腐葉土と戯れたあと、いよいよ腐葉土を蒸留器にかけていきます。

落葉して、その落ち葉を微生物が分解し、安定した状態に落ち着いた腐葉土のエキス。それが蒸気として抽出され、試験管を伝い、少しずつ蒸留されていく透明色の液体。ゆっくりとした時間の中、思い思いにその過程を見つめました。

出来上がった腐葉土蒸留液は、色々な新しい知識と感動も相まって、何とも形容し難い香り。この香りはぜひ皆さんには、ご自身で感じて欲しいのです。

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​そしてお腹が空いてきたタイミングで、浅田あいさん(以下、あいさん)によるマクロビオティック料理のワークショップに移ります。

私も含め、もうすっかり土に魅せられている参加者。あいさんのマクロビオティックの料理の説明が、一段と深い理解で頭に入ってきます。

皆もお手伝いして作った料理をゆっくりと口に運びますと、まさに身体に染み入るような料理。心の奥底から満たされるような感覚でした。

認識のあり方一つで、これほどまでに味覚を始めとする五感が研ぎ澄まされるのだな、と感じ入りました。

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「土から生まれる私」をテーマにした今回のワークショップは、まさに五感で生命の源を体感できる貴重な機会となりました。

植物蒸留研究家のマイ子さんは、豊かな栄養を含んだ腐葉土から、生命のエキスを丁寧に抽出してくれました。

蒸留器から立ち上る芳醇な香りは、参加者の心を癒し、生命の神秘を感じさせてくれました。

そして、料理研究家の浅田あいさんが作るマクロビオティック料理は、見た目も美しく、五感を刺激するものでした。

地上のあらゆる食物は土から生まれたのだ、という当たり前の事実をなかなか実感することが難しくなってしまった私たちにとって、そのことに思いを馳せなながらいただいた料理は、口にした瞬間に体中に生命力がみなぎるようでした。

そしてなぜか、懐かしい気持ちがふと湧いたのは、もしかするとそれは、かつて私たちが繰り返してきた生命の循環や円環を少しでも感じることが出来たということかもしれません。

ワークショップに参加したAさんは、

「普段何気なく食べている野菜も、土を深く意識しすることで、私たち自身が土から生まれているということを改めて実感しました。大地の恵みに感謝し、これからも自然と共存できるような生活を送りたい。それは自分を大切にする、ということと同義だと思いました。」

と語ってくれました。

今回のワークショップの感動を、日常に帰っていったときに、薄れていってしまわないようにしっかり胸に刻みたいと思います。

もしいつの間にか薄れてしまったと感じた時には、またぜひとも参加させてもらいたいと思いました。

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